流行りのジャージ生地、ストレッチスーツ5つの注意点

麻布十番駅徒歩1分のオーダースーツIKSTILE(イクスティレ)の大竹です。豊富な生地の知識、個性を活かすイメージ提案で、あなたの理想の姿・あなたらしいスタイルの確立のお手伝いをします。

昨今は機能性が重視され、ビジネスアタイアのカジュアル化や健康志向、フィットネスブームも合わさりスーツもジャージスーツやストレッチスーツが多く店頭に並んでいます。

当サロンでもストレッチ性のオーダースーツの要望があり豊富に生地を取り揃えておりますが、デメリットまで予め知った上でオーダーいただくことで買い物の質が上がると考えており、今日はジャージ生地やニット生地、ストレッチスーツの注意点を挙げさせていただきます。

ちょっと堅い内容ですが重大ですので最後までお付き合いください。

ジャージ・ニット生地、ストレッチスーツの注意点1 膝抜け

膝抜けという現象をご存知でしょうか?

スウェットパンツでよくあるのですが、パンツの膝の部分の生地が伸びてしまい、膝がボコッと膨らんでしまった状態です。

特に横から見た時に膝が出てしまって不恰好に見えます。

身体の動きに合わせて伸びるのがジャージ・ニット生地、ストレッチ生地の特性ですが、伸びたものが時間とともに戻らなくなるのも仕方ない部分です。

洗えば解消されるのですが、洗えば洗うほど消耗しますし、もっと言うとウォッシャブル対応か(手洗いか?洗濯機OKか?)ドライクリーニングのみかによっても扱いが変わってきます。

膝抜けは着用後すぐに起こるわけではなく、時間が経つことで起きるのでご注意ください。

ジャージ・ニット生地、ストレッチスーツの注意点2 だきじわ

ジャージ生地やストレッチ生地は柔らかい分、生地にハリコシがないためジャケットが立体的に仕上がらず、肩の部分の生地が落ちてきてシワになることがあります。

肩が落ちないよう小さめに肩幅を作るとジャケットが持ち上がり、肩先が浮いてしまいます。

逆に肩幅をゆったりめに作ると

だきジワができてしまいます。

生地が落ちてシワになることを想定し補正をして仕立ていますが、ジャージ・ニット生地、ストレッチスーツの場合、上記のシワは不可抗力の部分がありますのでご了承ください。

ジャージ・ニット生地、ストレッチスーツの注意点3 寸法安定性

生地の寸法安定性とは、素材の特性や縫製加工の過程での潜在的な熱収縮力による、使用または再加工時の生地サイズの変化を指します。

カンタンに言うと熱が加わった時に寸法が変わるのですが、それが安定した範囲で変化するかどうかです。

寸法安定性の良い生地は何度も着用・洗浄しても、元のプリーツや形は変わらず、寸法が縮んだり伸びたりすることはないですが、寸法安定性の悪い生地は縫製、アイロン、洗濯などで寸法が変わります。

テーラードのジャケットは、アイロンワークやプレスによってジャケットの形・立体感を作り上げるため、縫製の過程で生地に熱が加わります。

一般的にウールの生地であれば寸法安定性が良いので大きく寸法がブレることはありませんが、

ジャージ・ニット生地、ストレッチスーツの生地は寸法安定性が低く、アイロンワークやプレスをすることで寸法が大きく変わります。

寸法のブレが読めないため不可抗力で、2cm近く予定の寸法からブレることもあり、これはオーダーをされるお客様に予め知っておいていただきたい部分です。

ジャージ・ニット生地、ストレッチスーツの注意点4 立体感

テーラー業では仕立て映えという言葉があります。

英国生地のようにハリコシがある素材で仕立てるとスーツが立体的に仕上がります。

特にラペルのロールを見ると立体感は明らかです。

注意いただきたいのがジャージ・ニット生地、ストレッチ生地は生地が柔らかく上記のように立体的にはなりません。

特に軽い生地では少しペラペラした感じになります。夏用のアンコンジャケットにオススメです。

英国生地の厚みがある生地を”鎧”とすると、ジャージ・ニット生地、ストレッチ生地は”カーディガン”です。

立体感は生地によるところが多く、パリッと感を求めたいならばジャージ・ニット生地、ストレッチ生地を避けてしっかりとした目付のウールをお選びください。

ジャージ・ニット生地、ストレッチスーツの注意点5 経年劣化

ニットの寿命はおよそ2~3年で、経年劣化が進むとヨレやくたびれ感が目立ってきたり、毛玉ができやすくなったりします。

また化学繊維やポリウレタン(PU)が高い比率で配合されているストレッチスーツも同様に劣化が起きます。

長年の経験上、ウールやコットンがおよそ9割でポリウレタン数%ほどであれば心配いりませんが、ポリウレタン・ポリエステルの配合率などもご注意ください。

終わりに

あえてデメリットを書いているのはオーダーの満足度を落としたくない、オーダーされるお客様に喜んでいただきたいからこそです。

既製品であれば、早く消耗した方が次の売上になるのでデメリットの部分はなかなか語られません。

さらには昨今の流行りですからそこで売上・利益を最大化したいため、売り切ってしまうスタンスです。

ところが当サロンのような専門店は長い目で見て良い買い物をしてもらいたいと思っています。

だからこそ、流行りのジャージ・ニット生地、ストレッチスーツのデメリットもしっかりオープンにすべきと考えています。

大事なことはメリット・デメリットを知った上で用途や目的に合わせたオーダーができるか?

今日の内容はジャージ・ニット生地、ストレッチスーツをお求めの方にも接客を通じて最大限お伝えしておりますが、事前情報として知っておいていただきたく書かせていただきました。

あなたのスーツ選びの参考になれば幸いです。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

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